研究結果:
ランニング中は下腿内旋と後足部回外,下腿外旋と後足部回内の運動連鎖も存在することを解明!
研究内容の概要:
これまで,運動連鎖を評価するために相互相関関数(高林ら,2015;Takabayashi et al, 2016)が用いられていましたが,時系列毎で運動連鎖を評価できないという問題点がありました.そこで,本研究では時系列毎で詳細な運動連鎖を明らかにするために,ランニング中における下腿と後足部間の協調性パターンを定量化しました.結果として,ランニングの立脚期では下腿外旋と後足部回内および下腿内旋と後足部回外が生じる協調性パターンもあることが明らかになりました.さらに,下腿内旋と後足部回内,下腿外旋と後足部回外の運動連鎖のなかで,下腿がより動く割合が多くを占めることが明らかになりました.
本研究は日本理学療法士協会誌「理学療法学」に掲載予定です.
研究者からのコメント:
これまで,歩行やランニング中は下腿内旋と後足部回内,下腿外旋と後足部回外がペアの運動連鎖であることが報告されていました.しかしながら,運動連鎖の評価方法に問題がありました.本研究により,時系列毎で詳細な下腿と後足部の協調性パターンを定量化し,従来と異なった下腿と後足部間の運動連鎖関係もあることを明らかにしました.本研究結果はランニング中に生じる下腿と後足部間の運動学的な関係性と優位性を理解するうえで基礎的な知見に成ると考えています.
本研究成果のポイント:
① 吸収期と推進期の地点でanti-phase(下腿外旋と後足部回内,下腿内旋と後足部回外)が存在することを明らかにした点.
② Circular statisticsを用いて角度データを処理した点.
原著論文情報:
高林知也,江玉睦明,中村雅俊,中村絵美,金谷知晶,柳宗,稲井卓真,久保雅義.ランニングにおける下腿と後足部間の協調性パターン.理学療法学.