★ランニングにより硬くなる筋肉はなに?―シンスプリントの発生原因を解明するために―(2017.12.14)

理学療法学科14期生の大箭周平君の卒業研究として行った研究論文が「Journal of Foot and Ankle Research」に掲載決定しました.

研究は卒業研究(スポーツ医科学Lab)で行った内容で,9月に開催されました第72回日本体力医学会大会で発表したものを英文にしました.実習や国家試験の勉強などで忙しい中,学部在学中に論文が採択されるのは非常に珍しいことかと思います.この研究はシンスプリントと言って陸上選手の多くが苦しむ怪我の原因究明や治療法の確立を目指して,ランニングを行った前後の筋の硬さの変化を調査した研究です.

以下に,研究の内容をもう少し詳しく紹介します.

研究内容の概要:

Medial Tibial Stress Syndrome(通称,シンスプリント)は陸上選手やランニングをたくさん行う選手に生じる下腿の内側に痛みが生じる障害です.その障害発生メカニズムに関しては未だに明らかになっていないことが多くありますが,筋肉の硬さが一部,シンスプリント発症に関連していることが先行研究で明らかになっていました(Saeki et al. 2017).そこで今回は,シンスプリント発症と関連が高いランニングを行った前後の筋肉の硬さの変化を測定する事で,シンスプリントに関係する筋肉を明らかにすることを目的としました.30分間のランニングにより長趾屈筋と後脛骨筋という筋肉が硬くなりました.この結果より,長趾屈筋と後脛骨筋の硬さの変化がシンスプリント発症に関連している可能性を示しました.本研究成果は『Journal of Foot and Ankle Research』に掲載されております.

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研究者からのコメント

今回の研究は陸上選手が困る障害の一つであるシンスプリントの予防や治療法を確立するために,せん断波エラストグラフィーという機能を用いて,ランニング前後の筋肉の硬さの変化を研究しました.その結果,長趾屈筋と後脛骨筋の硬さが変化することがわかりました.今後はシンスプリントで苦しむ選手が少なくなるように,これらの筋肉に対するリハビリテーションなどを確立したいと思います.

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研究で使用した超音波の画像の代表例です

a:外側腓腹筋,b:内側腓腹筋,c:長趾屈筋.d:後脛骨筋,e:長腓骨筋,f:短腓骨筋の画像です.

最先端の機械を使用した研究ですが,学部生でもこれら最先端の機械を使用して卒業研究などを行っております.

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超音波を測定した部位についてです.

 
  
原著論文情報
  

Ohya S, Nakamura M, Aoki T, Suzuki D, Kikumoto T, Nakamura E, Ito W, Hirabayashi R, Takabayashi T, Edama M. The effect of running task on muscle shear elastic modulus of posterior lower leg. J Foot Ankle Res (2017) 10:56