第123回日本解剖学会総会・全国学術集会参加報告(2018.03.28-30)

2018年3月28から30日に日本歯科大学・日本獣医大学で開催された「第123回日本解剖学会総会・全国学術集会」の学生セッションで,人類学・解剖学Lab所属の小川貴大くんが発表を行いました.学部3年生での学会発表となり,準備は大変でしたが,多くの質問とコメントが出るなど,専門家の注目を集める素晴らしい発表でした.以下に,研究内容の概略を紹介します.』

発表者:小川貴大、澤田純明、佐伯史子、萩原康雄、奈良貴史 演題:エナメル質減形成から探る縄文・古墳・江戸時代の子供の健康状態

研究内容:遺跡から出土した古人骨を観察して疾患や栄養状態の痕跡を読み取ることは,過去の人々の生活の様相を明らかにするうえで重要です.本研究では,歯の「エナメル質減形成」を調査して,縄文・古墳・江戸時代の子供の健康状態の解明を試みました.エナメル質減形成とは歯冠に現れる溝状の凹みで,歯が形成される子供の頃に栄養不良などのストレスを受けることで生じます.調査の結果,時代が新しくなるにつれて,エナメル質減形成の出現頻度が減少する傾向を確認できました.これは、時代の進展とともに子どもの生活環境が改善したことを示しています.また,興味深いことに,江戸時代では,都市部の武家の人たちの方が,農村の人々よりも,エナメル質減形成の出現頻度が高いことがわかりました.この結果から,江戸都市部の武家集団に比べて,農民の生活環境が良好であった可能性が考えられました.

 このように古人骨から過去の生活環境を読み取るような試みを人類学・解剖学Labでは積極的に行っております.内容に興味がある方はオープンキャンパスなどで詳しい内容を確認してみてください!!

学会での小川くんの発表の様子を少しだけ紹介します.

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