本学科の萩原康雄助教(人類学・解剖学Lab,大学院博士課程3年生)の研究論文が国際誌『American Journal of Physical Anthropology』に受理されました!!
萩原先生は発掘された人骨より昔の生活習慣の調査を行っています.この研究によって,現代の日本人と縄文時代に生きていた人たちの生活が違うことが明らかになりました.研究の詳細と萩原先生からのコメントは以下の通りです.
研究内容の概要:
萩原先生の研究グループの研究では,腕の骨である尺骨の形態について以前,報告を行っていました(http://www.nuhw-pt.jp/2017/08/201770814.html).今回は足の骨の一部である中足骨についての研究報告です.この研究では,縄文時代人の足の骨(中足骨)が現代日本人と比較してどのような特徴をもつのかを検討しました.結果として,①縄文時代人の中足骨は全体として現代日本人と比較して頑強な傾向を示す,②縄文時代人の女性の第1中足骨(足の親指の付け根の骨)は縄文時代の男性や現代日本人の男女と比較してひ弱である,③縄文時代人では男女とも現代日本人と比較して外側の中足骨(足の中指~小指の付け根の骨)が頑強な傾向を示す,ということが明かになりました.本研究は、米国の科学雑誌『American Journal of Physical Anthropology』に掲載されるのに先立ち、オンライン速報版に掲載されています。
萩原先生からのコメント:
四肢骨の形態的解析は過去の人々の生活様式を検討するための方法のひとつであり,頑強で特徴的な形状をした四肢骨は,その骨に強い負荷がかかっていた可能性を示します.本研究で得られた結果は,現代日本人と縄文時代人,縄文時代人の男女間では足部への負荷のかかり方が異なっていた可能性を示します.このような研究を積み重ね,そして異なるアプローチから行われた研究と統合的な解釈を進めることで,縄文時代人がどのような生活をしていたのか,についてより踏み込んだ議論へと発展することが期待できます.
本研究成果のポイント:
1. 縄文時代人と現代日本人を対象に中足骨の断面形態解析を行った点
原著論文情報
Hagihara Y, Nara T. Diaphyseal cross-sectional geometry of the metatarsal bones in the Jomon population. American Journal of Physical Anthropology. doi.org/10.1002/ajpa.23463 [in press]