スポーツ医科学Lab所属の理学療法学科4年生の青木孝史さんが行った卒業研究が日本リハビリテーション医学会が発行している「The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine」に採択されました!!学部在学中の論文採択は,大箭周平くん,佐々木美憂さんに続いて素晴らしい快挙です.この研究は第72回体力医学会大会で発表を行ったものを今回,論文として投稿しました.研究の具体的な内容などを少し紹介します.
研究の概要:
筋力トレーニングは筋力や筋肉量を増加させるために行われる最も一般的なトレーニングです.一般的には,全力の60から80%の強度での筋力トレーニングが筋力や筋肉量を増加させるためには必要だといわれていました.しかし,これらの強度で筋力トレーニングを行うのは,高齢者をはじめとする患者さんには様々な怪我や血圧上昇などのリスクがあるため,実際に行うことは出来ないという問題があります.これまで,皮膚を冷やす皮膚冷刺激を行うことで筋力や筋肥大効果が大きくなる可能性があるということが先行研究で報告されていました.そこで本研究では,皮膚冷刺激と低負荷筋力トレーニングとの併用効果を検討しました.その結果,皮膚冷刺激を行いながらの筋力トレーニングにおいて筋力と筋厚の有意な増加が認められましたが,皮膚冷刺激を行わずに低負荷筋力トレーニングのみを行ったものと効果に差は認められませんでした.今回の研究では,最大の50%の負荷を用いたことと,上腕三頭筋を用いたために,このような結果になった可能性があります.今後は他の筋などで研究を行っていきたいと考えております.
本研究で行った上腕三頭筋の筋力トレーニングの様子です
測定を行った上腕三頭筋の超音波診断装置の画像です
青木さんからのコメントです
筋力トレーニングは理学療法で一般的に用いられているトレーニングですが,まだまだ明らかになっていないことがたくさんあります.今回は皮膚冷刺激に着目しましたが,今後は,様々な疾患の患者さんや筋肉を対象に研究を行えればと思います.
研究成果のポイント
・皮膚冷刺激を併用する筋力トレーニングにおいても筋力や筋厚は増加することが明らかになった.
・50%の負荷で上腕三頭筋を対象とした場合,皮膚冷刺激の有用性は認められなかった.
原著論文情報
青木孝史,中村雅俊,鈴木大地,大箭周平,江玉睦明.「皮膚冷刺激下での低負荷筋力トレーニングが筋厚および筋力に及ぼす影響」The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine.[印刷中]