江玉睦明准教授(理学療法学科、スポーツ医科学Lab、アスリートサポート研究センター、運動機能医科学研究所)と理学療法学科14期生の奥山遼さん(おゆみの中央病院勤務)、後藤聡介さん(中通リハビリテーション病院勤務)、佐々木美憂さん(猫山宮尾病院勤務)の研究論文が『Clinical Biomechanics』に掲載されました!!
【研究結果】
膝関節屈曲30°から90°の間の動作では膝蓋腱が伸張されないことを発見!
研究の概要
バレーボールなどのジャンプ動作を多く含む競技の代表的なスポーツ障害の一つに、膝蓋腱炎(ジャンパー膝)があります。その発生メカニズムとしては、繰り返しの伸張ストレスが主な要因であることが有力視されていますが、十分に証明されていません。そこで本研究では、ジャンプ動作で使用される膝関節屈曲30°~90°(30°、60°、90°で比較)において膝蓋腱が伸張されるかどうかを検証しました。その結果、大腿四頭筋を様々な強度で収縮させた際や、スクワット動作をした際には膝蓋腱は伸張されないことが明らかとなりました。今後は、猫背などの不良肢位や反復ストレスによる変化を検討していく予定です.
江玉先生からのコメント
ジャンパー膝は重症化するケースは少ないですが、再発率が高く、管理の難しいスポーツ障害の一つです。本学バレーボール部のアスリートの多くがこのジャンパー膝により十分なパフォーマンスができない状況です。近年有効な治療法が開発されつつありますが、有効な予防法の開発が急務であると感じています。本研究を進展させることで、有効な予防法を開発して膝蓋腱炎で悩むアスリートを一人でも多く減らしていきたいと考えています.
研究のポイント
1.測定条件① 等尺性膝関節伸展運動(ピークトルクの40%、50%、60%)(膝関節屈曲30°・60°・90°)で検証
⇒膝関節屈曲30°,60°,90°の角度間では、どのピークトルク値においても有意に膝蓋腱は伸張されなかった.
2.測定条件② 両脚スクワット(膝関節屈曲30°・60°・90°)で検証
⇒膝関節屈曲30°,60°,90°の角度間では、有意に膝蓋腱は伸張されなかった.
原著論文情報
Edama M, Okuyama R, Goto S, Sasaki M. Influence of loading rate and limb position on patellar tendon mechanical properties in vivo. Clinical Biomechanics.[in press]