ストレッチングのセット間休憩時間は柔軟性改善効果に影響を及ぼさないことを解明!!(2019.03.26)

中村雅俊講師(理学療法学科,応用理学療法Lab,運動機能医科学研究所所属)の研究論文が国際誌『Journal of Sport Rehabilitation』に採択されました.中村先生はこれまでストレッチングについての研究を行っており,今回は,ストレッチング間の休憩時間に着目した研究成果です.詳しい内容は以下をご覧ください.

研究内容の概要

ストレッチングはスポーツ選手や高齢者など理学療法士が多く使う手技の一つです.このストレッチングに期待される効果としては,関節や筋の柔らかさ(柔軟性)の改善だと考えられております.我々は,ストレッチングの中でも最もポピュラーな筋を一定の長さでストレッチングするスタティックストレッチングの効果について研究を行ってきました.今回は,複数回のストレッチングを行う際に重要になってくるセット間の休息時間に着目し,3種類の休息時間での効果の検証を行いました.その結果,休憩時間に関係なく関節や筋の柔軟性は改善し,その効果に違いがないことが明らかとなりました.

中村先生からのコメント

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 本研究は,ストレッチングの効果についてセット間の休憩時間に着目した研究となります.我々はこれまでスタティックストレッチングが関節や筋の柔軟性に及ぼす影響を検討してきました.今回の研究では,ストレッチングを行う際に「どれくらいの時間を明けても良いのか?」という疑問から研究を開始しました.本研究結果から,ストレッチングを行ったり,処方するときにはセット間の休憩時間はさほど気にしなくても良いことと考えられます.この結果は今後の理学療法におけるストレッチング処方の参考になることが期待できます.

本研究のポイント

1. せん断波エラストグラフィー機能により筋の柔軟性を評価した点

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2.3種類の休憩時間の違いにより関節の柔軟性(関節可動域)の変化を比較した点

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3種類の休憩時間の比較:Short duration:10秒,Normal duration:30秒,Longer duration:90秒⇒全ての条件で関節の柔軟性は増加し,その増加の程度に差はありませんでした.

3.3種類の休憩時間の違いにより筋の柔軟性(筋硬度)の変化を比較した点

図2.jpg

筋の柔軟性(筋硬度)は全ての条件でストレッチング介入により変化したが,その変化の割合は全ての条件で差がありませんでした.

 
  
原著論文情報
  

Nakamura M, Sato S, Kiyono R, Takahashi N, Yoshida T. Effect of rest duration between static stretching on passive stiffness of medial gastrocnemius muscle in vivo. J Sport Rehabil. [in press]