経頭蓋直流電流刺激(tDCS)と末梢神経電気刺激(PES)を併用すると皮質脊髄路の興奮性が変化しないことを解明!!(2019.03.27)

昨年修士課程を修了しました立木翔太先生(理学療法学科12期生・神経生理Lab、新潟医療福祉大学大学院修士課程2017年度卒,現所属:栃木県医師会塩原温泉病院)の研究が「PLOS ONE」に採択されました!!経頭蓋直流電流刺激(tDCS)と末梢神経電気刺激(PES)を同時に使用した際の効果を解明しました.詳しい内容は以下をご覧ください.

研究内容の概要:

経頭蓋直流電流刺激(tDCS)と末梢神経電気刺激(PES)はそれぞれ単独で皮質脊髄路興奮性を変化させることが可能であると報告されています。本研究では、tDCSとPESを組み合わせることで皮質脊髄路興奮性がより興奮しやすいと仮説を立て、実験を実施しました(図1)。結果、tDCS単独では皮質脊髄路興奮性が変化するも、tDCSとPESを組み合わせて介入すると皮質脊髄路興奮性が変化しなくなることが明らかになりました。

Tusiki1.jpg図1.実験プロトコルについて

立木先生からのコメント:

写真_立木翔太 (1).JPG

tDCSとPESは神経疾患に対するリハビリテーションの一つとして臨床応用が進められています。患者に対して最大限の治療を提供するためには基礎的な知見が重要になってくると考えています。本研究もその基礎的な知見の一つになればと考えます。

研究成果のポイント:

① 陽極(Anodal) tDCS後に皮質脊髄路興奮性が増大しましたが、anodal tDCSとPESとの組み合わせ刺激(同時刺激)後では変化しませんでした(図2:実験1の結果)。

Tsuiki2.jpg

図2.実験1の結果

② 陰極(Cathodal) tDCS後に皮質脊髄路興奮性が低下し、PES後に増大しましたが、cathodal tDCSとPESの組み合わせ刺激(tDCS終了後にPES)後では変化がありませんでした(図3:実験2の結果)。

tsuiki3.jpg

図3.実験2の結果

 
  
原著論文情報
  

Shota Tsuiki, Ryoki Sasaki, Shota Miyaguchi, Sho Kojima, Kei Saito, Yasuto Inukai, Mitsuhiro Masaki, Naofumi Otsuru, Hideaki Onishi. The effect of combined transcranial direct current stimulation and peripheral nerve electrical stimulation on corticospinal excitability. PLOS ONE. 2019.3 (in press). doi: 10.1371/journal.pone.0214592