菊元孝則講師(理学療法学科、スポーツ医科学Lab、アスリートサポート研究センター、運動機能医科学研究所)らの研究論文が国際誌『Journal of Foot and Ankle Research』に掲載されました‼ 多くの人が経験したことがある足関節の捻挫についての研究です.
研究の詳細は以下の通りです.
研究内容の概要:
スポーツ活動中に足関節捻挫は多く発生し,アスリートが悩まされている外傷のひとつです.また繰り返しの足関節捻挫により発症する足関節不安定症(CAI)が,アスリートにとって重大な問題になる可能性があります.そのCAIの評価として用いられる足関節前方引き出しストレステストと内反ストレステストは,テスト時の足関節角度が明確に定まっていません.そこで本研究は,定量的なストレスをかけられるTelos Stress Deviceを用いて,超音波画像診断装置により,腓骨外果と距骨間の離開率を評価することを目的としました.健常大学生男女160名(男性86名,女性74名)の左右の足関節,計320足を対象に群分けを実施し,CAI群(男性28足,女性26足)と捻挫既往がない健常群(男性30足,女性34足)に分けました.各群で足関節底屈角度0°,20°,45°の各角度で,CAI評価として用いられる前方引き出しストレスと内反ストレスを行い,腓骨外果と距骨間の離開率を算出しました.その結果,男性においては,足関節底屈20°でのストレステストが有用である可能性が示唆されました.一方で女性においては,群間で有意な差は認められませんでした.
菊元先生からのコメント:
慢性的な足関節不安定性(CAI)は,スポーツ活動中に発生する足関節捻挫の繰り返しにより生じると言われています.そのCAIを評価する際に用いられる足関節前方引出しストレステストと内反ストレステストは,テスト実施時の足関節角度が決まっていません.本研究により,スポーツ現場でも有用されている両ストレステストは,男性において,足関節底屈20°で実施することが推奨される結果となりました.一方で女性においては,群間で有意な差が認められず,継続的な検証が必要となりました.
本研究成果のポイント:
① ストレステストを定量的に行った点
前方引き出しストレステスト
内反ストレステスト
足関節不安定症の評価として用いられる足関節前方引き出しストレステストと内反ストレステストは,テスト時の足関節角度が明確に定まっていません.今回の研究では定量的なストレスをかけ,最も有用な足関節角度を明らかにしました.
② 超音波画像診断装置により,腓骨外果と距骨間の離開率を定量的に評価した点.
研究で使用した超音波画像診断装置の画像の一つです.
原著論文情報
Takanori Kikumoto, Kazuma Akatsuka, Emi Nakamura, Wataru Ito, Ryo Hirabayashi and Mutsuaki Edama. Quantitative evaluation method for clarifying ankle plantar flexion angles using anterior drawer and inversion stress tests: a cross-sectional study. Journal of Foot and Ankle Research [in press]