関根千恵助教（理学療法学科，スポーツ医科学Lab，アスリートサポート研究センター，運動機能医科学研究所）の研究論文が，国際誌『Applied Bionics and Biomechanics』に受理されました！！

研究内容の概要：

シナジー解析は運動中の筋の協調的な活動を明らかにする手法であり，神経科学やリハビリテーション，ロボティクスの分野を中心に様々な日常活動動作のシナジーが報告されております．近年，シナジー解析はスポーツ動作にも応用され始めており，本研究では，ローイング動作時の筋シナジー解析を行いました．さらに，椎間板性腰痛を引き起こす腰椎椎間板変性（disc degeneration）保有の有無で筋シナジーを比較しました．

本研究には，エリート大学ボート選手（椎間板変性群，健常群）が参加しました．腰椎のMRI画像を用いて，椎間板変性の有無を評価しました．ローイングエルゴメーターを用いた2000mタイムトライアルを実施し，トライアルの前半・後半の1ストロークを解析しました．その結果，ローイング動作の際には，ストロークを通して体幹・下肢筋を総動員し，筋の協調性を維持した動作を行っていること，椎間板変性保有の有無で筋の協調性に差を認めないことが明らかになりました．

関根先生からのコメント：

ボート競技は腰痛の頻度が高く，上肢・体幹・下肢の協調性低下が腰痛発症の一要因ではないかと考えられております．そこで，我々は椎間板性腰痛を引き起こす腰椎椎間板変性と筋の協調性に関係があるのではないかと考え，ローイング動作時の筋シナジーを椎間板変性の有無で比較検討しました．本研究により，椎間板変性保有の有無で，ローイング動作における筋の協調性に差を認めないことが明らかになりました．今後は上肢筋を解析対象に加えたより詳細な検討が必要であると考えています．

本研究のポイント：

エリートボート選手では，椎間板変性（disc degeneration）保有の有無で，ローイング動作中の筋シナジー（筋の協調性）に差を認めないことが明らかになりました．

20%time point:スタートから20%経過時点（トライアル前半），80%time point:スタートから80%経過時点（トライアル後半）

RA:腹直筋，EO:外腹斜筋，IO:内腹斜筋，MF:多裂筋，LD:広背筋，ES:脊柱起立筋，RF:大腿直筋，BF:大腿二頭筋（全て右側）