★ 痛みの評価で使用されるフェイススケールは運動強度のスケールとして使用できる!!(2020.02.10)

新潟医療センター(筆頭著者;梨本智史先生)と運動生理Labとの臨床共同研究が『Physiological Reports』に掲載されました!

研究内容の概要:

心疾患の発症予防・二次予防に身体活動量が重要とされます.運動時の強度設定には自覚的運動強度を評価する指標の1つであるボルグスケールが多く使用されますが,高齢者にとっては運動のきつさを文字のみで記述しているため,理解が難しいことが想像されます.

我々は,高齢者にも理解しやすいように,痛みの評価として使用されているフェイススケールを応用し,運動強度スケールとしての使用を考案しました(Morishita 2018 下図).

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今回は疾患を有する高齢被検者を対象に,フェイススケールの運動強度スケールとしての妥当性を検討しました.またフェイススケールと嫌気性代謝閾値(AT)との関連を調査しました.

洞調律症例90名(男性74名 女性16名),心房細動症例22名を対象に自転車エルゴメーターにて10Watt/分のRamp運動負荷試験を行いました.自覚的運動強度としてフェイススケールを使用し,1分ごとに聴取しました.また,心拍数,酸素摂取量,分時換気量を記録しました.

結果,年齢(65歳以上/65歳未満)・洞調律/心房細動に関わらず,フェイススケールと運動負荷試験中の各生理学的パラメータとは中等度~高い相関がみとめられました.

また,年齢・洞調律/心房細動に関わらず,フェイススケールにおけるATのCutoff値は“4”“Somewhat strong”であり,その測定精度は良好であることがわかりました.

梨本先生からのコメント

本研究は,高齢者,不整脈を有する患者様を対象に,運動強度スケールとしてのフェイススケールの妥当性を検証しました.本研究の結果,フェイススケールと運動中の生理学的パラメータの相関は良好で,年齢や心房細動の有無にかかわらず,高い精度でATを同定できる可能性が示唆されました.フェイススケールが高齢者や,主要な不整脈である心房細動を有する症例の運動強度設定の一助となることを願います.

最後に,研究遂行・論文執筆にあたり新潟医療センターの医師,理学療法士,臨床検査技師,内部障害リサーチミーティング(https://kazuki-hotta.wixsite.com/remind)の皆様はじめ多くの方々にご協力を賜りました.この場を借りて御礼申し上げます.

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実験のイメージ画像です

 
  
原著論文情報
  

Nashimoto S, Morishita S, Hotta K, Iida S, Tsubaki A. Relationship between the face scale for rating of perceived exertion and physiological parameters in older adults and patients with atrial fibrillation. Physiological Reports [in press].