★ トレーニング間のストレッチングが筋力増強・筋肥大効果を増加することはないことを明らかにしました!!(2021.04.06)

池津大高君(セントラルスポーツ所属,理学療法学科17期生,応用理学療法Lab)と佐藤成君(理学療法学科15期生,大学院博士課程1年,応用理学療法Lab,運動機能医科学研究所),中村雅俊先生(理学療法学科,応用理学療法Lab,運動機能医科学研究所)の研究論文が,国際誌『International Journal of Environmental Ressearch Public and Health.』に採択されました!!

無料で読める論文ですので興味があればお読みください☺→ https://www.mdpi.com/1660-4601/18/7/3770

通常,レジスタンストレーニングは複数セット行いますが,その間の過ごし方については色々と議論を呼んでおります.ただゆっくり休む方法をとることが一般的ですが,近年,休憩中にストレッチングを行うことでトレーニング効果を大きくする可能性が報告されておりました.つまり,ただ休むだけではなく,ストレッチングをするだけでトレーニング効果が大きくなるのであれば,是非,リハビリテーションでも応用できると考えられます.今回の研究では,トレーニング間でのセット間休憩中にストレッチングを行うことが筋力増強・筋肥大効果を増強するか否かを検討しました.その結果,残念ながら,セット間にストレッチングを追加することで筋力増加や筋肥大効果をより大きくすることは出来ないことを明らかにしました.ただ,トレーニング効果を邪魔するわけではないので,トレーニングの合間にストレッチングを行うことの悪影響はないことも同時に示すことができました.詳しくは以下をご覧ください.

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今回,研究を中心に頑張ってくれた池津大高君

研究の概要:今回,flywheelというホイールを用いた最先端のトレーニング機器を用いたスクワットトレーニング(図1)を5週間実施しました.これはホイールが回る回転力を負荷として,スクワットの座った状態から立ち上がる時(短縮性収縮の部分)だけではなく,立った状態からおしりを下ろす局面(伸張性収縮の部分)でも大きな負荷をかけることができる新しいトレーニング方法です.このスクワットを10回×3セット行ってもらい,セットの間の休憩の時間(180秒間)に30秒×2回,計60秒間のストレッチを行いました(図2).その結果,ストレッチを行うことで関節の柔軟性は増加しましたが,筋力に関しては増加しましたが,一部しかストレッチングを行うことで+αの効果はありませんでした.また,筋肥大効果に関しても筋肥大効果は認められましたが,ストレッチングを行うことでの+αはなかったことが明らかとなりました.この結果より,柔軟性を向上させるにはトレーニングの間のストレッチングは良い方法だと思いますが,筋力増加や筋肥大効果をさらに期待する場合はなかなか難しいことが考えられます.

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図1.ホイールの回転力を用いたスクワットトレーニング(Flywheel training)

ホイールの回転によりスクワットの短縮性・伸張性収縮の局面で非常に大きな負荷がかかるトレーニングです.

図3.jpg図2.セット間の大腿四頭筋のストレッチング方法

伸ばさない側の股関節を屈曲して骨盤を固定することで大腿四頭筋に強いストレッチングが可能になります.

中村先生からのコメント

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レジスタンストレーニングはスポーツやリハビリテーションの現場で多く用いられるものであります.このトレーニングの効果を大きく引き出すために様々な研究や実践がおこなわれておりますが,今回,簡単にできるトレーニングの間の休憩中にストレッチングをするというものに着目しました.今回の結果からは残念ながら,トレーニング中にストレッチングを行うことは関節の柔軟性にとって有益ではありますが,筋力増強・筋肥大効果に関しては+αの効果は生じないことが明らかとなりました.そのため,もっと大きなトレーニング効果のある方法などを今後,明らかにしていければと思います.

 
  
原著論文情報
  

Nakamura, M.; Ikezu, H.; Sato, S.; Yahata, K.; Kiyono, R.; Yoshida, R.; Takeuchi, K.; Nunes, J.P. Effects of Adding Inter-Set Static Stretching to Flywheel Resistance Training on Flexibility, Muscular Strength, and Regional Hypertrophy in Young Men. Int. J. Environ. Res. Public Health 2021, 18, 3770. https://doi.org/10.3390/ijerph18073770