運動中の意図的な換気亢進により,大脳皮質の酸素化ヘモグロビン濃度が低下することが明らかになりました!!
小柳圭一さん(神戸市立医療センター中央市民病院,理学療法学科8期生,修士課程・博士後期課程修了)の研究論文が国際誌「Respiratory Physiology & Neurobiology」に掲載されました!!
研究概要
安静時の血中二酸化炭素濃度と脳血流量との関連は多くの先行研究で報告されています(Fox et al., 1992; Serrador et al., 2000; Ide et al., 2003).一方,運動中の血中二酸化炭素濃度と脳血流量の関連は明らかにされておりませんでした.本研究では,非侵襲的にそれらを計測できる呼気終末二酸化炭素濃度および近赤外線分光法による酸素化ヘモグロビン濃度を計測しました.その結果,運動中の呼気終末二酸化炭素濃度と酸素化ヘモグロビン濃度との関連を明らかにしました.また,換気量を増加させることによって酸素化ヘモグロビン濃度が低下することも明らかにしました.
小柳さんからのコメント:
私たち理学療法士は運動療法を提供する専門家であり,その対象者は呼吸や循環に問題を持つ方が多くおられます.本研究結果は,運動療法時の呼吸と脳血流量との関連を裏付ける結果であり,リスク管理において有益であると考えています.
研究成果のポイント:
・呼気終末二酸化炭素濃度(PEtCO2)と酸素化ヘモグロビン濃度(O2Hb)は関連のある有意な因子として明らかになりました(図①)
・自転車エルゴメーター運動中の換気量が増えることで通常よりも脳血流量が低下しました.
(図②;灰色で囲まれている範囲が運動中のデータを示しています.また,赤線は換気量増加条件,青線は通常呼吸条件を示しています).
原著論文情報
Keiichi Oyanagi, Atsuhiro Tsubaki. Effects of increased respiratory rate on cortical oxygenated hemoglobin during low-intensity exercise. Respiratory Physiology & Neurobiology [in press]