★ 池津真大さん(理学療法学科14期生,AR-Ex尾山台整形外科東京関節鏡センター),江玉睦明教授(理学療法学科,スポーツ医科学Lab,アスリートサポート研究センター,運動機能医科学研究所),工藤慎太郎教授(森ノ宮医療大学インクルーシブ医科学研究所)らの共同研究が国際誌「Journal of shoulder and elbow surgery」に掲載されました!(2022.01.18)

【研究結果】

野球選手における屈曲回内筋群損傷の部位は浅指屈筋の2・5指が最も多く,肘尺側側副靭帯の遠位側の損傷と屈曲回内筋群損傷には関連があることを明らかにしました!!

【研究の概要】
 近年,肘内側に存在する屈曲回内筋群の損傷が野球選手で問題視されています.また,野球選手に好発する肘尺側側副靭帯損傷は屈曲回内筋群損傷と密接な関係性があることが報告されています.しかし,野球選手における肘尺側側副靭帯損傷と屈曲回内筋群損傷の関係は明らかにされていませんでした.さらに,我々はこれまでに屈曲回内筋群の一つである浅指屈筋の起始部構造を調査した研究(Matsuzawa et al, Surg Radiol Anat. 2021)を報告しましたが,詳細な屈曲回内筋群損傷の部位は明らかにされていませんでした.
 そこで,本研究はMRIを用いて屈曲回内筋群損傷の部位,肘尺側側副靭帯損傷の部位と屈曲回内筋群損傷の関係,肘尺側側副靭帯損傷の重症度と屈曲回内筋群損傷の関係を調査しました.
 その結果,野球選手における屈曲回内筋群損傷の部位は浅指屈筋の2・5指が最も多く,肘尺側側副靭帯の遠位側の損傷と屈曲回内筋群損傷には関連があることが明らかとなりました.本研究は,国際誌「Journal of shoulder and elbow surgery」に掲載予定です.

池津さんからのコメント:

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 本研究は,AR-Ex尾山台整形外科の医師,理学療法士,放射線技師,新潟医療福祉大学の江玉睦明教授,森ノ宮医療大学の工藤慎太郎教授との共同研究の成果です.本研究結果から,肘尺側側副靭帯損傷には屈曲回内筋群損傷の合併,特に浅指屈筋2・5指の損傷の合併があることを考慮してリハビリテーションを行うことが重要であると考えています.今後も,研究を地道に進めていき野球のケガで苦しむ選手を一人でも多く救えるように頑張りたいと思います.

〇 研究成果のポイント:

1.屈曲回内筋群損傷の部位を明らかにした点

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2.肘尺側側副靭帯損傷の遠位側の損傷と屈曲回内筋群損傷には関連があることを明らかにした点

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FPM:屈曲回内筋群損傷 Proximal UCL tear:肘尺側側副靭帯近位損傷 Distal UCL tear:肘尺側側副靭帯遠位損傷

 
  
原著論文情報
  

Ikezu M, Kudo S, Edama M, Ueda M, Kubo T, Hirata M, Watanuki M, Takeuchi H, Kaneiwa J, Iizuka Y, Hayashi H. Sites of flexor-pronator muscle injury and relationship between ulnar collateral ligament injury and flexor-pronator muscle injury in baseball players: A retrospective cohort study. Journal of shoulder and elbow surgery. 2022 [In-press].