佐藤成さん(松村総合病院,理学療法学科15期生,博士後期課程1年,応用理学療法Lab,運動機能医科学研究所),吉田麗玖さん(理学療法学科17期生,修士課程1年,応用理学療法Lab,運動機能医科学研究所),村越ふうさん(理学療法学科4年),佐々木勇人さん(理学療法学科4年),中村雅俊講師(理学療法学科,応用理学療法Lab,運動機能医科学研究所)の研究論文が,国際誌『Scandinavian Journal of Medicine and Science in Sports』に採択されました!!
本研究では,平日だけ3秒間の全力の筋収縮をすることによって筋力が増加するか否かを検討しました。また、その際の筋収縮の種類によって筋力の変化に違いがあるか否かも検討しました。その結果,特に、本研究では筋収縮の種類の一つである伸張性収縮を行うことで大きな筋力アップが出来るということを明らかにすることができました。通常のレジスタンストレーニング(筋力トレーニング)ではダンベルやバーベルを使って,疲労困憊するまで行うイメージがありますが,一日たった1回でも全力で力を入れることで筋力がアップすることはリハビリでも応用が可能な研究成果ではないかと思います.研究の内容は以下をご覧ください。
今回の研究をメインで頑張った佐藤君(左写真)と村越さんと佐々木君(右の写真)
研究内容の概要:
筋力トレーニング(筋トレ)は主に筋力増強を目的に行われます。 臨床やスポーツの現場では時間に制約があるため,筋力増強に効率的な筋トレを処方する必要があります。そのため,今回は1日3秒間でも全力で筋収縮を行えば筋力は上がるのか,さらに,その筋収縮の種類の違いによって効果が異なるのかを研究しました。その結果,1日3秒間,5日間連続(平日のみ)の全力の伸張性収縮を4週間実施することで筋力が上がることが明らかとなりました。これらの結果は今後,リハビリテーション現場での応用が期待できます。 今後は,伸張性収縮をリハビリテーションやスポーツ現場で応用が可能な方法を構築していきたいと考えています.
佐藤さんからのコメント:
スポーツやリハビリテーションの現場では,筋力増強に効果的なトレーニング処方が求められます。本研究より,1日3秒間という短い時間の筋収縮を毎日繰り返すことにより筋力が上がることが明らかになりました。特に等尺性収縮や短縮性収縮と比較して伸張性収縮による筋力増強効果が大きいということは非常に面白い発見でした。本研究の成果が実際の現場でのトレーニング処方に役立てられれば幸いです。なお,伸張性収縮の世界的な権威である野坂和則先生(Edith Cowan University)にもご指導いただきました!!
研究成果のポイント:
1.異なる収縮様式でトレーニング効果を比較した点
筋肉の収縮には等尺性収縮と短縮性収縮,伸張性収縮という筋肉の収縮の方法があります.
伸張性収縮は少し難しい収縮様式ではありますが,トレーニング効果が大きい(その反面,筋肉痛が生じてしまうリスクもあります)ことが知られています.今回の研究ではこの伸張性収縮がトレーニング効果が大きいことを示しました.
2.1日3秒間の全力の伸張性収縮により筋力が増加することを明らかにした点
原著論文情報
Sato S, Yoshida R, Murakoshi F, Sasaki Y, Yahata K, Nosaka K, and Nakamura M. Effect of daily 3-s maximum voluntary isometric, concentric or eccentric contraction on elbow flexor strength. Scand J Med Sci Sports. [in press]