理学療法学科1回生の武田賢和さんの総説論文が「Journal of Toxicologic Pathology」に掲載されました!!
Taketa Y. Luteal toxicity evaluation in rats. J Toxicol Pathol. 2022;35(1):7-17. doi:10.1293/tox.2021-0058
武田さんは社会人入試制度を利用し,理学療法学科に入学されて,理学療法について学んでいる学部一回生です.これまでの社会経験や研究経験を活かし,同級生だけではなく,大学院生にも指導を行っていただき,非常に良い刺激を与えてくれている存在です.
今回,大学1回生での国際誌掲載という快挙を挙げられた武田さんに今回のReviewの内容だけではなく,どうして社会人入学をしたのか?,社会人経験をどのように生かしているのか?の話を伺い,今後,社会人入学を考えている方への一助になればと考えております.
今回,concis
質問:理学療法学科に社会人入学を決めた理由は?
武田さん:
私は製薬企業で創薬研究に10年間以上携わる中で、様々な疾患の
質問:本学で1年間、理学療法を学んでの感想はいかがですか?
武田さん:
私が想像していた以上に理学療法やリハビリテーションは奥が深く
質問:今回の総説の内容を教えてください
武田さん:
私は本学入学前に、薬や化学物質が有する副作用・毒性のリスクを評価するための非臨床研究を行っておりました。今回の論文では、女性生殖機能に及ぼすリスク評価で重要となる、薬や化学物質の投与によるラットの黄体への影響を評価する際のポイントや、代表的な毒性変化を総説としてまとめました。
総説の概要:
黄体は卵巣内に存在する内分泌組織であり、性周期/月経周期や妊娠の維持に重要なプロジェステロンというホルモンを分泌します。ラットの性周期は4~5日間という短い期間の周期を示し、排卵後の卵胞から新たに形成された黄体は4周期後にほぼ完全に退行します(図1)。
図1. ラットの新しい黄体(左)→古い黄体(右)
ラットの黄体におけるプロジェステロン分泌は合成と異化のバランスで調整され、薬や化学物質の過剰な投与によってそのバランスが乱れることがあります。薬や化学物質による卵巣や黄体への影響は、膣スメア観察や注意深い病理組織学的観察によって評価・検出できます。例えば、黄体細胞のプロジェステロン分泌を刺激する化学物質をラットに投与すると、性周期の乱れや黄体の肥大が認められます(図2)。
図2. ラットの正常な卵巣(左)と黄体が肥大した卵巣(右)
武田さんからのコメント:
薬の効果と副作用のリスクは表裏一体であり、どれだけ効果の高い薬でも、必ず副作用があります。したがって、薬はその副作用を理解した上で治療を進める必要があります。高齢化や生活習慣病の増加などにより、理学療法を必要とする患者様は、薬剤の投与を受けていることが多いと思われます。私はこれまでの経験を活かし、薬が有する副作用のリスクを把握した上で、最適な理学療法を患者様に提供できる理学療法士を目指したいと考えております。
新潟医療福祉大学では理学療法を学びたいと考えている社会人の方々も喜んで受け入れております.
これまの学びや経験を理学療法と融合させて新しい理学療法の構築を進めてみませんか?