研究の概要
ペースメーカー,植込み型除細動器,心臓再同期療法という心臓デバイス(CIED)は,不整脈を有する高齢者や重症心不全(HF)の患者に推奨されています.また,HF患者においてフレイルの存在は再入院を増加させると報告されています.しかし,CIED患者におけるフレイルと再入院率の関係については、現在のところエビデンスが不足しています.
本研究では,術前のフレイルが植込み後1年間のCIED患者の再入院率に影響を与えるかを調査しました。対象をmodified frailty index(mFI)を用いてフレイル群と非フレイル群に分類しました.その結果,フレイル群は非フレイル群に比べ,再入院率が有意に高い結果が得られました.さらに多変量解析の結果,フレイルが有意な再入院の予測因子であることを示しました.
武田先生からのコメント:
本研究ではCIED患者において術前のフレイルは1年以内の再入院を予測する要因であることが明らかになりました.臨床現場でCIED植込み前からフレイルを判定するためにmFIは安全に使用でき,リハビリテーションの開始時の再入院リスクを判断する際に使用ができると考えています.
原著論文情報:
Tomonori Takeda, Atsuhiro Tsubaki, Yoshifumi Ikeda, Ritsushi Kato, Kazuki Hotta, Tatsuro Inoue, Sho Kojima, Risa Kanai, Yoshitaka Terazaki, Ryusei Uchida, Shigeru Makita: The impacts of preoperative frailty on readmission after cardiac implantable electrical device implantation. PLoS ONE 17(11): e0277115.
https://doi.org/10.1371/journal.pone.0277115