研究内容の概要:
田宮創助教(理学療法学科,運動生理Lab)が糖尿病性腎病患者への長期的な理学療法士の介入は,心臓血管疾患の発症と死亡リスクを抑制することを明らかにしました!!
糖尿病性腎臓病は,心臓血管疾患の発症や死亡リスクを高めるため,世界中で有効な治療法の確立が急務の課題となっています.そこで本研究では,専門知識を有した理学療法士が6か月間に渡り介入することで,糖尿病性腎臓病患者の心臓血管疾患の発症や死亡リスクにどのような影響を及ぼすかを検討しました.
その結果,理学療法士が介入することで,2年後のリスクを有意に抑制されることが明らかとなり,そこには脂質代謝の改善の影響が示唆されました.
本研究成果は,2023年1月15日に国際誌「Journal of Clinical Medicine」に掲載されました.
研究者からのコメント:
糖尿病性腎病患者への理学療法は,世界中でまだ保険診療が認められていません.本研究により,理学療法介入の有効性が明らかになったことで,新たな領域のリハビリテーションに応用できます.また,理学療法士の職域の拡大にも寄与します.
本研究成果のポイント:
67例の糖尿病性腎病患者において,理学療法士が6か月間に渡り運動指導を行いました(Intervention group).年齢,性別,重症度,血液データなどをマッチングさせた67例を比較対象(Control group)としました.心臓血管疾患や全死亡を組み合わせた2年後の複合エンドポイントの発生は,Intervention groupで有意に抑制されました.
原論文情報:
Hajime Tamiya, Yuma Tamura, Yasuko Nagashima, Tomoki Tsurumi, Masato Terashima, Kaori Ochia, Kyosuke Ehara, Tomoki Furuya, Nobuyuki Banba, Yuki Nakatani, Megumi Hoshiai, Asuka Ueno, Takashi Tomoe, Atsuhiko Kawabe, Takushi Sugiyama, Shinya Kawamoto and Takanori Yasu. Long-Term Tailor-Made Exercise Intervention Reduces the Risk of Developing Cardiovascular Diseases and All-Cause Mortality in Patients with Diabetic Kidney Disease. J. Clin. Med. 2023, 12(2), 691; https://doi.org/10.3390/jcm12020691