【Topics&News】五十嵐先生のご紹介(2023.04.11)

2023年4月より理学療法学科に着任しました五十嵐眸実と申します.2020年に新潟医療福祉大学の理学療法学科を卒業してから,大学院へ進学し,痛みに関する研究を行ってきました.現在は大学院博士後期課程に在籍しながら,教員として理学療法学科(神経生理Lab)に所属しております.
日本国内でも,原因不明の慢性的な痛みに悩まされている方患者様は多くいらっしゃいます.痛みには心理的要因,痛みの捉え方,脳機能などの様々な要因が関係しています.このような様々な要因に対して,痛みにどのように影響しているのか,どのような人が慢性的な疼痛を発症するリスクがあるのかを研究しています.さらに,どのような治療法によって痛みが緩和するのか,治療法の確立を目指しています.
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研究紹介:
失感情とは,自分自身の感情認識・表現が難しいことを指します.そのような失感情と痛みが強い関連性を持つことが報告されています.本研究では,前頭前野のドーパミン機能に影響を及ぼすCOMT遺伝子多型に着目しました.健常者を対象に,COMT遺伝子多型が失感情の指標であるTAS-20と痛みの変化に対する過敏性の指標であるPVAQとの相関関係に影響を与えるかを調べました.
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その結果,COMT遺伝子多型がVal/Val型の被験者では有意な相関関係が認められないのに対し,Met型をもつ被験者(Met carrier)では“痛みの感受性が高い人ほど感情の認識が難しい”という正の相関関係が認めました.この結果は,COMT遺伝子多型によるドーパミン機能の違いが失感情と痛みの感受性の関係性に差異を生じさせることを示唆します.
将来的にはCOMT遺伝子多型によって、痛みを治療する際に心理療法の有効性が異なるかなどを調べていきたいと思います。

原論文情報:
Ikarashi H, Otsuru N, Yokota H, Nagasaka K, Igarashi K, Miyaguchi S, Onishi H. Influence of Catechol-O-Methyltransferase Gene Polymorphism on the Correlation between Alexithymia and Hypervigilance to Pain. Int. J. Environ. Res. Public Health 2021, 18(24), 13265

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