ランニングについて
近年,人々のライフスタイルの「健康志向」化に伴い,老若男女問わずランニング人口が増加しています.ランニングは低コストで実施でき,必要なアイテムも少ないことから,手軽に楽しめるスポーツとして人気が高いです.みなさんのなかにも,定期的にランニングを実施している方は多いのではないでしょうか?
笹川スポーツ財団の調査によると,2020年のジョギング・ランニング実施率が推計実施人口1,055万人であり,1998年の調査開始以降で過去最高の実施率・推計実施人口であったことが報告されています.ランニングには様々なメリットがあり,例えば定期的なランニングの実施により循環器系の死亡リスクが減少することがわかっています.そのため,ランニングには魅力的なメリットが多くあります.
その一方で,多くのランナーはランニング障害を発症することがわかっています.健康増進やトレーニングのためにランニングを実施しているにも関わらず,ケガをすることは本末転倒になってしまいます.そのため,健康を増進させながら,ランニング障害を予防することも大事になります.
扁平足について
ランニング障害の危険因子には様々なものがありますが,そのひとつに扁平足があります.扁平足は代表的な足部変形ですが,内側縦アーチの下降や後足部外がえし,前足部外転などのアライメントを示します.ある研究では,軽度な扁平足では4.8倍,重度の扁平足では20倍もランニング障害を発症すると報告されています.しかし,扁平足がなぜ,ランニング障害を発症しやすいか,そのメカニズムは未だ解明されていないのが現状です.
取り組みの紹介
そこで,扁平足者がランニング障害を発症するメカニズムについて,三次元動作解析装置や床反力計,無線筋電図などを使用し,ランニング時の身体の動きや関節への負荷,筋肉への負荷を調べる研究を行っています.研究結果として,扁平足者はランニング中に足の動きが過剰に動くことや,捻れるような動きすることがわかってきました.これらの動きが,二次的にランニング障害の発症に関わるのではないかと考えています.
また,扁平足をどのように扁平足とみなすか,足に対して最も良い理学療法評価もまだわかっていないことが多いため,扁平足を評価する最も良い評価方法も現在調べています.
まとめ
もちろん,ランニング障害には様々な原因がありますが,理学療法評価を行い,もし扁平足が原因でランニング障害や足の痛みに繋がっていた場合,理学療法士は「足」に対して適切なリハビリテーションを実施する必要があります.ランナーが安全かつ安心にランニングできる未来を創るためにも,今後もランニング障害の予防に繋がる扁平足研究を進めていく必要があります.