「膝関節伸展運動に伴う膝蓋上包の動態を明らかにしました!」

田中悠大さん(理学療法学科20期生、アレックス長野整形外科クリニック勤務)と江玉睦明教授(理学療法学科、スポーツ医科学Lab、アスリートサポート研究センター、運動機能医科学研究所)らの研究が国際誌に掲載されました

研究背景

膝蓋上包に関しては,古くから教科書などでは,膝蓋骨近位深層に位置する滑液包であり,膝関節運動に伴い単膜構造から2重膜構造へ変化することで,組織の摩擦軽減に作用すると記載されていました.しかし,膝蓋上包の動態は,これまで位置関係より推察されたもののみであり,実際の動態は確認されていないのが現状でした.そこで本研究では,関節の可動性があるThiel固定遺体4体8膝を用いて,膝関節運動に伴う膝蓋上包の動態を観察し,膝蓋上包が2重膜を呈し始める角度を明らかにしました.その結果,膝関節を屈曲位から伸展方向に動かした際に,屈曲約90度で膝蓋上包が単膜から2重膜構造へ変化する様子が観察できました.本研究結果は,膝関節屈曲可動域制限の評価や治療の一助となると考えられます.

本研究結果は、国際誌「Surgical Radiologic Anatomy」に掲載予定です.

【田中さんからのコメント】

 膝関節の屈曲可動域制限は,日常の診療で最も多く接する機能障害の一つです.本研究では,膝関節屈曲可動域制限の要因の一つである膝蓋上包の動態を明らかにしました.今後は,本研究結果を日々の診療に活かせるように頑張っていきたいです.

研究成果のポイント:

①Thiel固定遺体を用いて膝蓋上包の動態を明らかにした点.

黒矢印:膝蓋上包の遠位端

 

②膝蓋上包が単膜構造⇔二重膜構造に移行する関節角度を明らかにした点.

黒矢印:膝蓋上包の遠位端

膝蓋上包が単膜構造⇔二重膜構造に移行する関節角度:屈曲91 ± 4°

 
  
原著論文情報
  

Edama M, Tanaka Y, Shirai T, Takano Y, Sakamoto k, Osanami H, Yokota H, Hirabayashi R, Ishigaki H, Akuzawa H, Sekine C, Sato N. Dynamics of the suprapatellar bursa during knee joint extension movement. Surgical radiologic anatomy. 2024. [In-press].