【研究内容の概要】
扁平足は,様々なランニング障害の危険因子であることが明らかとなっています.しかしながら,すべての扁平足者がランニング障害を発症するわけではなく,ランニング障害を発症しやすい扁平足のタイプが存在する可能性があります.近年では,足部アーチの柔軟性(Arch height flexibility:AHF)による扁平足のタイプ分類が注目されており,扁平足は,AHFの違いによって足部アーチの柔軟性が高いFlexibleタイプと側部アーチ柔軟性が低いRigidタイプに分類されると報告されています.そこで本研究では,扁平足をFlexibleタイプとRigidタイプに分類し,静止立位時の下肢アライメントに与える影響を検討しました.さらに,膝関節屈曲角度の違いも下肢アライメントに影響を与えることが報告されていることから,膝関節屈曲角度の違いが静止立位時の下肢アライメントに与える影響も検討しております.その結果,扁平足のタイプの違いは静止立位時の下肢アライメントに影響を与えず,膝関節屈曲角度の違いのみが影響を与えることが明らかとなりました.本研究成果は,国内誌『スポーツ理学療法学』に掲載予定です.
【研究者からのコメント】
本研究で,扁平足のタイプの違いは静止立位時の下肢アライメントに影響を与えませんが,膝関節屈曲角度の違いは影響を与えることが明らかとなりました.そのため,今後は実際のランニング動作において扁平足のタイプの違いが与える影響を検討する必要があると考えております.
【本研究成果のポイント】
扁平足のタイプの違いは静止立位時の下肢アライメントに影響を与えないが,膝関節屈曲角度の違いは影響を与えることが明らかとなった.
原著論文情報
平塚栞,高林知也,鈴木駿佑,菊元孝則,久保雅義:扁平足のタイプと膝関節屈曲角度が静止立位時の下肢アライメントに与える影響.2024 [論文採択].