小曽根海知 (理学療法学科 病態生理Lab, 運動機能医科学研究所)の論文が国際誌「Journal of Orthopaedic Research」に採択されました!
研究概要:
関節リウマチ (以下RA) は, 滑膜炎を特徴とする代表的な自己免疫疾患であり, 関節の腫脹や炎症を通じて罹患者のQOLを著しく低下させます. 近年, RAに対する運動療法の有効性が提唱されていますが, その詳細な機序に関しては未だ明らかではありませんでした. そこで本研究ではヒトRA病態モデルマウスを用いた前臨床試験により, 活動性関節炎に対する低強度運動の有効性検証ならびに病態改善機構の解明に向け研究を実施しました. 結果として, 活動性関節炎に対する低強度運動療法は, 関節腫脹の増悪抑制効果を有し, また筋萎縮の予防効果だけでなく, 滑膜脂肪複合組織における抗炎症作用を有することが組織学・形態学・分子生物学的解析の結果から明らかとなりました.本研究は埼玉県立大学理学療法学科の研究グループとの共同研究です.
本研究成果は, 国際誌『Journal of Orthopaedic Research』に掲載され, またbulk mRNA-sequence解析の結果はGSE271058で公開されています.
研究者からのコメント:
本研究成果により, RA疾患活動性が高い時期からでも低強度運動療法を取り入れることで, 関節破壊の増悪抑制だけでなく罹患者のQOL低下予防, ひいてはサルコペニア予防に繋げられる可能性があることが示唆されました. 本研究は前臨床試験段階であるためヒトへの適応には十分な注意が必要ではありますが, 新たな知見を提供できたことを嬉しく思います.
研究のポイント
①関節炎+低強度運動療法を実施したAREx群では関節炎のみ惹起したAR群に比べ, 関節腫脹の増悪推移が運動開始直後から軽減していました (Figure1).
②滑膜脂肪複合組織 (SM&FP) に対しbulk mRNA-sequence解析を実施した結果, AR群に比べAREx群でRA増悪に関与するシグナル伝達経路が抑制されていた可能性が示唆されました (Figure2).