鈴木孝昇さん(17期生,神経生理Lab,大学院修了生)と長坂和明講師(理学療法学科,神経生理Lab,運動機能医科学研究所)らの研究論文が国際誌『European Journal of Neuroscience』に採択されました!

鈴木孝昇さん(17期生,大学院修了生)と長坂和明講師(理学療法学科,神経生理Lab,運動機能医科学研究所)らの研究論文が国際誌『European Journal of Neuroscience』に採択されました!

研究概要:

これまで脳幹部の青斑核ノルアドレナリン神経が記憶や認知機能に関連することはよくわかっていますが,体性感覚がどのような影響を受けるのかはよく分かっていませんでした.本研究では,麻酔下の動物を対象として,青斑核への持続的な電気刺激による活性化が,体性感覚刺激によって生じる大脳皮質の神経活動をどのように変調させるのかを調べました.結果,意外なことに,青斑核をたくさん活性化させれば良いというわけではなく,1秒間に1回程度のリズムによってのみ,体性感覚活動が増強することを見出しました.さらにこの増強に関連する皮質のノルアドレナリン受容体の種類まで特定しました.本研究結果は,青斑核が大脳皮質に作用する適切なリズムがあることを示唆しています.

 

研究者からコメント

これまで様々な手法を駆使して,ヒトの青斑核の活動を上昇させる試みがされてきていますが,その効果は非常にバラつきが大きいことが知られています.今回の結果は,ただ単に青斑核を活性させれば良いというわけではなく,身体機能を変調させる特定の活動頻度が存在することを示唆します.ヒトにおいてもこのような適した活動リズムがあるのかを特定することが次の課題です.

 
  
原著論文情報
  

T Suzuki, K Nagasaka, T Otsuki, N Otsuru, H Onishi. Tonic Electrical Stimulation of the Locus Coeruleus Enhances Cortical Sensory-Evoked Responses via Noradrenaline α1 and β Receptors.2025.European Journal of Neuroscience.