齋藤新貴さん(新潟医療福祉大学大学、修士課程)と井上達郎准教授(理学療法学科、運動機能医科学研究所)らの研究論文が採択されました!
【研究概要】
本研究では,嚥下障害患者のリハビリテーション時に使用する嚥下調整食のエネルギー量に着目しました.従来より,嚥下調整食のエネルギー量の低さは問題視されており,エネルギー不足により静脈栄養等の非経口的な栄養管理が必要となることが多いです.その結果,経口摂取の機会が減少し,さらなる嚥下機能の廃用を助長する可能性が指摘されています.
そこで本研究では,従来使用している嚥下調整食よりもエネルギー量が高い「つるん食」を導入し,嚥下障害患者に対し,経口摂取を主体とした栄養管理を行うことが三食経口摂取移行達成に与える影響を調査しました.その結果,つるん食群は従来の嚥下調整食群と比較し,三食経口摂取移行者数を有意に増加させました.さらに,食事を用いた摂食嚥下リハビリテーションの訓練回数の増加に影響を与えることが明らかとなりました.
この論文は編集委員の一押し論文として編集後記にも紹介されました!(https://www.jspen.or.jp/publication/journal/posts/307)
【研究者のコメント】
嚥下障害患者のリハビリテーションには,栄養管理とリハビリテーションの同時介入が不可欠です.本研究結果から,嚥下機能に配慮し,少しでも多くの経口摂取の機会を作ることは,嚥下障害患者の栄養管理,リハビリテーションアウトカムに良い影響を与えると考えます.今後も,管理栄養士的視点にとらわれず,多角的な視点をもちながら,研究に取り組みたいと思います.